メトヘモグロビン血症とは、血液中のメトヘモグロビンの量が、健常な人に比べてきわめて多くなっている状態となっているものをいいます。
ヒトの血液のなかを流れている赤血球に位置するタンパク質で、酸素を全身に運ぶ役目を担っているのがヘモグロビンです。
このヘモグロビンの鉄イオンが酸化されたものがメトヘモグロビンであり、いわば酸素を運ぶ能力にとぼしい異常な状態のヘモグロビンであると考えられます。
健常なヒトでもこのメトヘモグロビンを持っていないわけではありませんが、その血液中での割合は1パーセントから2パーセント程度にとどまるものです。
したがって、血液中のメトヘモグロビンが、この1パーセントから2パーセントという割合を超えた場合が、メトヘモグロビン血症であるということになります。
メトヘモグロビン血症の原因としては、大きくは遺伝的なものと、後天的なものの2つに分けられますが、いずれにしても体内で酸素欠乏の状態となるため、唇などが紫色になるチアノーゼを起こすほか、頭痛 、めまい、呼吸困難などが生じてしまいます。
遺伝的な原因としては、先天的な染色体の異常によって、体内でメトヘモグロビンを代謝する酵素のはたらきがなくなってしまったことが挙げられますが、きわめてまれなケースです。
後天的なものとしては、医薬品の副作用や飲食物の汚染によるものが挙げられます。
こうしたものに関与している薬物としては、ベンゾカイン、硝酸塩、一酸化窒素、ニトログリセリン、サルファ剤などが研究により明らかにされています。
なかでも、ベンゾカインというのは内視鏡検査などの前によく用いられる局所麻酔薬で、ほかには胃腸薬や酔い止めなどの内服薬、虫さされ、かゆみ止めなどの外用薬といった、ごくありふれた市販の医薬品などにも、このベンゾカインの成分が含まれています。